簡単便利だけど恐ろしい離婚調停。

調停は手続きも簡易で広く一般的に利用される制度ですが、いくつか注意点があります。

離婚調停で夫婦での話し合いがまとまると、調停調書というものが作成され離婚が成立します。

しかし、この調停調書がとんでもない事態を引き起こす可能性があることは、世間ではあまり知られていません。

インターネットの情報では、離婚調停で作成される調停調書は、協議離婚で作成する離婚公正証書と効果が変わらないから、どうせなら費用が安く済む調停調書で済ませればよいなど、安く済むという理由だけで調停を勧めているものも多くあります。

それは、その離婚調停を経験した人に知識があったからでしょう。

または、あまり細かな取り決めがなかったり、最低限取り決めなければならないことを調停で話し合っただけと推測できます。

確かに調停調書と離婚公正証書は両方とも裁判での判決と同様の効力があり、その効力は非常に強力なもので、両方ともその効力にあまり変わりはありません。

どちらかというと調停調書の方が、後に金銭の不払いが発生し、強制執行の手続きをする場合、離婚公正証書に比べ少しだけ手続きが簡易なものになります。

それに離婚公正証書にかかる費用は数万円かかるのに対し、離婚調停を弁護士に依頼することなく、乗りきった場合、多少の時間はかかりますが調停にかかる費用は数千円と非常に安く済みます。

しかし、安く済むからという理由だけで調停に挑んではいけません。

安いからという理由だけで、知識もなく調停に挑んだ場合必ず痛い目にあいます。

ここでは、離婚調停に対して注意するべき点を見ていきましょう。

調停委員は法律家とは限らない。

調停のうち離婚調停を担当するのは調停員は家事調停委員と呼ばれ、その構成は弁護士も全体の10%ほど含まれるのですが、そのほとんどが法律とは関係のない職業の者で構成されています。

例を挙げると以下の通りです。

  • 弁護士・10.5%
  • 医師・0.9%
  • 大学教授など・2.1%
  • 公務員・1.4%
  • 宗教家・2.3%

等々・・・多種多様な職業の者で構成されており、その構成員の大部分が50代から60代のある程度年配の方たちになります。

裁判所にもよりますが、調停委員に年に数回の研修を行っており、調停委員はその研修を受けてはいますが、もちろん離婚の専門家でもありません。

調停委員は、離婚に際して、どのような取り決めをしておけば良いのかということをアドバイスしてくれるわけではなく、あくまでも中立の立場で夫婦の話を取りまとめ、調停を進めていくことがその職務となります。

さらに、50代から60代の方たちと言えば、男尊女卑が根強くあった時代を生き抜いてきた方々です。

実際に女性が調停委員にひどい言葉を投げかけられたというようなこともあります。

調停委員によっては話し合いの中で女性が不利に導かれることもあるというのが現状です。

もちろん全ての調停委員に言えることではないのですが、まさに調停委員にはアタリハズレがあるということです。

ちなみに調停委員を選ぶことはできません。

取り決めたはずのことが記載されない!

調停調書で一番のデメリットと言えるものが、調停調書に

調停で合意した内容と違うものが記載されていた!

内容が少し違うだけならまだしも

合意した内容の記載さえされていない!

ということが現実に起こるのです。

合意した内容が記載されていない場合は、調停調書の原案を見た段階で、すぐに判断がつくかもしれませんが、合意した内容と違うものが記載されていた場合は非常に厄介です。

調停調書などに記載される文章は、一般の方にはわかりにくい言い回しで記載されます。

それを原案を見た段階で、そういった文章を読みなれていない人が、理解するのは難しいでしょう。

また、調停に当たる調停員や裁判官にもよりますが、いちいち細かな調書の説明もしてくれるわけではありませんし、公務員というのは客商売でもなんでもなく、間違いや記載がないことに気付いて意見したとしても

なかなか認めません!

さらに裁判官は一人で処理する事件の処理件数が非常に多く、早期に案件を処理するため強く合意を勧めてくることもあります。

もちろん法的に意味のないことや、実現不可能な内容は公正証書でも記載することはできませんが、それを一般の人に判断できるかどうかが問題となります。

調停調書作成後は、取り下げができなくなり、無効や不服の申し立てもできなくなるので、根気強く話し合いを継続し、記載内容をしっかりとしたものにしなければなりません。

効力が強いからこそ注意が必要

相手との話し合いで不本意な内容になってしまうならまだしも、調停委員のアタリハズレや、相性によってもその内容というものは天と地ほどの差ができてしまうのです。

前述のように調停調書は裁判の判決と同様の強い効力があります。

その調停調書の内容が合意した内容と違っていたり、記載がなかったりすると、内容が違う場合は異議の申し立てや無効を主張できませんし、記載がない場合はその部分だけの調停をやり直さなければならないといったような事態になりかねません。

弁護士に依頼せずに調停に挑む場合は、最低限の取決めだけになることを覚悟するか、知識をしっかりとつけてから臨みましょう。

離婚調停はどんな時に申し立てればいい?

離婚調停を起こすときは、どうしても話し合いがまとまらない話し合いがまとまらない、相手が協議に応じない、離婚公正証書を作成するのが困難という場合に調停を利用するようにした方が良いのです。

また相手からの暴力が原因で離婚を考えている場合、調停は夫と妻を交代で調停室に呼んで、調停委員が事情を聞きながら話し合いを進めていくので、夫婦がお互いに顔を合わせて話合うということは原則としてありません。

暴力等が原因で別居をしていて、あなたの住所を相手に知られたくない場合には、事前にその旨を裁判所に申し立てておけば相手に住所を知られることなく話し合いを進めることができます。

調停を利用することは、メリットも大きいのですが、しっかりとデメリットも把握したうえで利用するようにしましょう。

サブコンテンツ

このページの先頭へ