親権と監護権

今回は親権についての解説です。

まず親権とは以下の権利と義務のことを言います。

親権とは,未成年の子を監護・養育し、その財産を管理し,その子を代理して法律行為をする権利と義務のことをいいます。

親権の「権」とは文字通り権利のことですが、親権には子供をしっかりと育てる義務も含まれているということもしっかりと覚えておきましょう。

親権は子供のための重要な権利義務

未成年者は親権者の同意がなければ法律行為を行うことができません。

法律行為とは、売買や貸し借り、その他日常生活に欠かせない行為も含まれるのですが、

学生のときにアルバイトをしようとしたときに、その面接に行った先で親の同意書をもらってきて欲しいと言われた覚えがある方も多いのではないでしょうか?

これは、「未成年の子」が「労働契約という法律行為」をするために「親権者」の「親権に含まれる同意権」を得てきて欲しいということになります。

少し難しい言い回しですが、つまり、未成年者は親の同意や許可がなければ、基本的に自分の行動を自由にきめることができないのです。

通常は子供が行きたい学校や学習塾、やりたいアルバイトやスポーツ教室等は、親と子供が話し合って子供が決めているようなものですが、法律的には、親が子供に代わって契約を締結しているということになります。

それだけに子供の生活や健全な成長、将来に関わる重要な権利義務になります。

親権に含まれる権利

一言で親権といっても、親権の中には色々な権利が含まれています。

親権に含まれる権利は以下の通りです。

親権に含まれる権利

財産管理権とは

  • 子供の財産を管理する包括的な権利
  • 子供の法律行為について同意する権利(同意権)

身上監護権とは

  • 居所指定権
    子供の居所を指定する権利
  • 懲戒権
    子供に対して懲戒・躾をする権利
  • 職業許可権
    子供が職業を営むにあたってその職業を許可する権利
  • 身分行為の代理権
    子供が身分法上の行為を行うにあたっての代理権

親権から監護権を分けるのは要注意

離婚の際、親権を財産管理権と身上監護権を夫婦で分けて取得することができます。

身上監護権とは一般的に監護権と言われるものです。

財産管理権と身上監護権を分けることを一般的には「親権と監護権を分ける」といわれていますね。

この親権と監護権を分けて離婚後の夫婦が別々に行使するということができますが、子供の生活の安定のためにも親権と監護権は分けずに、両方とも夫婦の一方に定めておいた方が良いでしょう。

なぜかというと監護権は親権のその大部分を占める権利になるのですが、監護権を切り離された親権にも一つの重要で大きな権利である財産管理権があります。

この財産管理権には、「法律行為の同意権」というものがあり、子が何らかの法律行為を行う際には、親権者に同意を求めなければなりません。

上述したように未成年者がアルバイトをするようなときに、親権者の同意が必要です。

この親権者の同意とは「雇用契約という法律行為」に親権者が「同意権」を行使しているということなのです。

監護権に「職業許可権」というものがありますが、これはあくまでも親権が同意があった上で行使できるのです。

他には、もし監護権者に新しいパートナーができ、再婚するとなったときにそのパートナーと子を養子縁組させるといった場合に、「養子縁組という身分行為」に親権者の同意が必要になってしまいます。

これでは手続きが煩雑ですし、親権を取った方の夫婦の一方はこれを認めない可能性があります。

親権と監護権を別にしようと言うのは夫側からの主張になることが多いので、こういったことを見越しているのかもしれません。

僕の依頼者が夫の方の場合は、将来自分の子供を他人の養子にしたくないと要望があればこの方法で回避するように勧めます。

子のためにはなりませんが依頼者のためにというのが私たちの仕事なので仕方がありません。

その他にも親権と監護権を分けることによって起こる弊害は多く、夫婦間の確執が大きければ大きいほど離婚後に何らかの手続きを執る際には非常に煩雑になります。

なのでなるべく夫婦の一方が親権・監護権ともに取得するようにしましょう。

何より子供の親権と監護権は夫婦の意地の張り合いで奪い合うものではなく、子供の将来と心身の健康を考えて決めるべきものですしね。

ちなみに調停や裁判でもよっぽどの事情がない限り親権と監護権を分けることはないようです。

親権取得は夫が不利

調停や裁判では、10歳までの子の親権は母親が取得することが多く、10歳から15歳の場合は子供の意思が尊重されますが、実際には母親が取得することが多いようです。

15歳以上になると、自分の意思をはっきりと言えるようになると考えられているので、子の意思を尊重します。

総じていうと親権については夫側は圧倒的に不利という事になります。

夫は妻と親権を争うのであれば、親権については妻が有利であるという事を覚悟しておかないと、散々争って疲れ果てた後に結局親権を妻に取られてしまうという事になります。

妻によほど問題がある等の特別な事情がない場合は裁判まで進む覚悟で臨んだ方が良いでしょう。

この記事のまとめ

今回は親権・監護権について見てきました。

子供を思いやる親の気持ちを考えると、ご自身の手元に子供をおいておきたいという気持ちはよくわかります。

しかし親権の奪い合いというのは、泥沼離婚の原因にもなり、夫婦双方とも疲れ果て、子供にも多大な影響を及ぼすものです。

私個人の考えとしては、やはり子供は母親と一緒にいた方が良いのではないかと思っています。

最近では親権を欲しがらないという母親も増えているので、母親が親権を欲しがらないときに、父親が親権を取得するというのが自然な流れなのかなと思いました・・・

子供が15歳以上なら、子供の意思が尊重されるようになるのが法律の取扱です。

15歳未満でも子供の意思は尊重するようにした方良いと思うのですが、子供に親を選ばせるの酷な話です。

子供を健全に育てる義務という義務も含まれているということを忘れないようにしたいものですね。

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